強引なカレの甘い束縛
私はもう、両親の意志に振り回されていた子どもではないし、つらいことからあっさりと逃げ出す弱さを克服しつつもある。
だから、姉さんがまだ私への罪悪感を抱えているのなら、そんな重荷、捨ててほしいのに。
「今まで十分甘えてきたから、私は……」
落ち込んだ姉さんに、私はどう言えばいいのかわからず、口を閉ざすと。
私たちのやり取りを聞いていた公香が心配そうに口を開いた。
「ななちゃんが甘えるのは陽太君でしょ?」
「え?」
「ななちゃんが甘えるとかわいいって言ってた。陽太君はななちゃんにいつでも甘えてほしいんだって」
「そ、そんなこと、言ってたの?」
慌てた私に、公香は首をかしげて言葉を続ける。
「だからななちゃんをちょうだいって言われた」
「ちょ、ちょうだい?」
相手はまだ幼稚園児だというのに、いつの間にそんな話をしていたんだ。
焦る私を気にすることなく、公香は「ななちゃん、いいなあ。公香も誰かにいつでも甘えたいなあ」とぽつり、口にした。
「公香はお母さんとお父さんにいつでも甘えられるでしょ?」
「いつでも……じゃないけど……でも、いいもん」
私と姉さんと手をつないでゆっくりと歩く公香の歩幅がさらに小さくなった。
私はそっとしゃがみこんで、公香の顔を覗き込んだ。