強引なカレの甘い束縛
「どうしたの? 疲れちゃった?」
空いている手で公香の頬を撫でれば、うるうると揺れている瞳に気づく。
引き結んだ唇も色が変わっていて、何かを我慢しているのが一目でわかる。
「公香?」
焦った気持ちが声に表れたのか、姉さんもしゃがみこみ、公香の様子をうかがった。
「お腹でも痛い? それとも、のどが渇いたの?」
「ううん。大丈夫」
公香はぶんぶんと首を横に振って、姉さんに笑顔を作って見せた。
どちらかと言えば忍さんに似ている公香のはっきりとした顔は、無理矢理笑っているように見える。
「公香?」
姉さんが公香の額に手を当てた。
「熱はないみたいだけど、どうしたの? どこか痛い?」
「痛くないけど……」
公香はおろした両手をぎゅっと握りしめて俯いた。
「けど? 痛くないけど、どこか変なの? 教えてくれる?」
私の言葉に、公香は再び首を横に振り、「変じゃない」とひとことつぶやいた。
すると、そのはずみで、公香の頭からピンクのカチューシャが足元に落ち、私は慌てて拾った。
「かわいいね。公香によく似合ってるよ」
公香の肩より少し長いサラサラの髪を撫でて、カチューシャをゆっくりと頭に乗せると、公香は照れくさそうに笑った。
「この前、陽太君がプレゼントしてくれたの。幼稚園でなわとび十回飛べたから、ご褒美だって」
「ご褒美?」
「うん。縄跳びが跳べないと幼稚園でいじめられるから、お母さんがいない時に公園で練習してたの……」
「え? いじめ?」
私は、弱々しい声で話す公香の肩に両手を置き、公香の顔を覗き込んだ。
唇をかみしめて、うるうると揺れる瞳からは涙がこぼれおちそうだ。