強引なカレの甘い束縛
「公香、幼稚園でいじめられてるの?」
私は思わず厳しい声をあげそうになるのをどうにか堪え、優しく聞いた。
姉さんの話では、毎日ぐずぐず言うことなく元気に幼稚園に通っていると聞いていたのに。
姉さんを見れば、かなり驚いているようで、公香を見つめながらおろおろしている。
「公香? いじめられるって、ほんと?」
信じられないというように、姉さんが公香に問いかける。その深刻そうな表情を見て、公香は更に顔をしかめた。
そして。
「なわとびが跳べないとみんなが公香のことをどんくさいって言って遊んでくれないから、一生懸命練習したの。
でも陽太君が教えてくれたから、跳べるようになった」
公香は自分の足元を見ながらそう言って、頬にこぼれる涙をごしごしと拭った。
「公香……どうしてお母さんに言ってくれなかったの? なわとびの練習をしてるなんてちっとも言ってなかったでしょ?」
驚きを隠せない姉さんが、少し厳しい声で公香に問いかける。
公香の言葉が信じられないだろう。私も同じ気持ちだ。
公香は姉さんの強い口調にぴくりと体を震わせ、ぽろぽろと涙をこぼす。
私は慌ててポケットから取り出したハンカチで公香の頬を拭いた。
ひくひくと声をあげる公香の細い体がいっそう小さくなったように思える。
すると、公香は涙声ながらもゆっくりと話し始めた。
「めぐちゃんが……お母さんと一緒になわとびの練習をしたら上手に跳べるよって言ってたけど、公香のお母さんはいつも唯香のお世話で忙しいし、時々ななちゃんのおうちに行っちゃうから」
小さなささやきは、とても悲しげで震えていた。