強引なカレの甘い束縛
俺は深くため息を吐いた。
あれほどこの日を楽しみにし、七瀬は俺のものだと宣言できる披露宴を待ちわびていたというのに。
いざこの日を迎えれば、七瀬をこの腕に閉じ込めて、俺だけのものだと言い聞かせて洗脳したい……そんな気持ちが溢れている。
「ん? どうしたの? ここにきて緊張してる?」
七瀬が俺の顔を覗き込み、にっこりと笑っている。
「いや、まあ、武者震いってとこだな。 まあ、仕方ない。さ、とっとと披露宴を終わらせて、ふたりになろう」
「は……?」
「いや、まあ、いい。俺は七瀬と一緒にいたくてさ、気が狂いそうだってこと」
「あ……そう、なんだ。奇遇だね、私も同じ。早く終わらせて、陽太とふたりになりたいし」
七瀬は自分の腕を俺の腕に滑り込ませ、体を押し付けてきた。
甘えるように体を寄せて、耳を真っ赤にしながら照れている。
……かわいい。
七瀬が再びつまづかないようにゆっくりと歩き、ようやく会場の前に立った。
青山さんがヘッドマイクで何か確認している。
会場の準備の具合を聞いているようだ。
その時、俺の左側をまっすぐに延びる赤いじゅうたんの向こう側の何かが揺れたような気がした。
「桜だ……」
赤いじゅうたんの向こう側の窓を、ちらりちらりと流れていく。
風に飛ばされている桜の花びらが、春の陽射しに踊らされ、舞っている。