強引なカレの甘い束縛
「だけどさ、もしもあの日、七瀬に何も用事がなくて一緒に飲みに行く約束でもしていたら、経理部の誘いは絶対に断ってた」
「え?」
足元に視線を落としていた私の頭をゆるゆると撫でながら、陽太は言葉を続ける。
「あの日行ったのも、七瀬がいなくて暇だったからだ。まあ、経理部には大学の先輩がいるから断れなかったってのもあるけどな」
陽太はそう言うなり、私の手を両手で握ると、あやすように何度か上下させた。
私の中にどうにか残っていた強気な気持ちをほぐすようにゆっくりと。
「俺の中ではとくに大したことじゃなかったから、あえて七瀬に言わなかったと思う。っていうか、言ってなかったことすら忘れてた」
てっきり陽太は喜んで参加したに違いないと落ち込んでいたけれど、陽太のその言葉で気持ちは大きく浮上する。
そっか、経理部の何人もの美人さんたちに会いたくて参加したわけではなかったんだ。
社内の男性の多くは経理部女子とつながりを持ちたいと、その機会を探しているはずなのに。
陽太は私との時間を優先すると、さらりと口にしてくれた。
陽太はどれだけ私を振り回すのだろう。