強引なカレの甘い束縛


けれど、私は姉のように環境への適応能力に優れていたわけでもなく、学齢を重ねるにつれて心を閉ざしていった。


そして、あの出来事。

既に仕事に就いて収入もそれなりに得ていた姉は両親から私を切り離して育ててくれた。

そのことを両親がどう思ったのかは今ではもうわからないけれど、画家として名をはせていた両親にはかなりの収入があり、生活費もふんだんに与えてくれた。

子どもをじっくりと育てることには向いていなかった両親だけど、だからといって子どもに貧しい暮らしはさせられないと、ふたりきりで各地を回り始めてからはそれまで以上にいい作品を描き、知名度も収入もアップした。

そんな中で交通事故に遭い、亡くなった。

「七瀬がここに住み始めて十年くらい? 結構長いよな」

ぼんやりしている私に、陽太が声をかけた。相変わらず川沿いの桜を見ている横顔は楽しげだ。



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