強引なカレの甘い束縛
「忍さん一家が用意してくれた家だからね。なかなか引っ越すなんて言い出せないし、それに、私も気に入ってるから出て行くつもりもないの」
「この時期は桜もきれいだし、夏には花火も見えるしな」
「うん……」
ここ数年、夏に催される花火大会の日には、陽太をはじめ会社の同期たちがこぞってこの部屋を訪れている。
ベランダから見上げる夜空には大きな花火が一万発も輝き、遠くからも見物客が訪れる。
去年は同期十人ほどでビールを飲みながら綺麗な花火に歓声をあげた。
もちろんその中には陽太もいた。
「それにしても、この広い2LDKにひとり暮らしなんて贅沢だよな。忍さんってマジでお金持ちなんだな。七瀬のためにこの家を用意してくれるなんてさ」
「……うん、まあね」
「七瀬も穂香さんも、親を亡くして苦労してきたんだから、玉の輿にのってもいいか。っていうか、忍さん、本当に愛妻家だもんな。男として恥ずかしいを通り越してあっぱれだもんな。俺も、結婚したらあれくらい本気ででれでれしたいって思う」
ふっと小さくなった声。
ちらりと視線を向けると、陽太が私をじっと見ていた。