ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
「置いて帰れるわけないだろ。そんな状態の貴女を置いてなんて」


「………」


「急に車道に飛び出すし、駅に向かうのかと思えば、逆方向へフラフラと歩いてる」

藤枝さんの真剣な瞳が私を捕らえる。

「………」


目の前まで来た藤枝さんが、大きな手で、私の頬を包み、心配そうに私の瞳をのぞき込む。

「…まさかと思うが、道に迷ったのか?」


道に迷った…ああ、そうかもしれない。


「…はい。迷子になっちゃいました。
自分が…どうしたいのか、これからどうすべきか…答えか分からずにいます」


助けて…


不覚にも、ポロポロと、涙がこぼれた。



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