ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
凛とした彼女が、急に取り乱し、あろう事か車が往来する車道へ飛び出そうとしたんだ。

『おいっ!あんたバカか⁉︎』

思わず怒鳴ってしまった。

俺は、滅多なことでは動じない。

でも、あの時は本当に焦った。


『用事が出来ました』

明らかに彼女の様子がおかしい。

車道を横切る彼女を放っておけなくて、跡をつけた。


若者グループの手前で、ピタッと立ち止まった彼女。


彼女の視線の先にいた男が、何かをつぶやいた途端に、彼女の目から涙がこぼれたんだ。

泣きながら、駅とは反対方向へ歩く彼女の後ろ姿を追った。

放っておいたら、今にも消えてしまいそうだ。
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