今、鐘が鳴る
翌日、約20km歩いて、城崎へ。
円山川を眺めながらひたすら北上した。
城崎は、少し雪がちらついていた。
「お疲れさん。大変でしたやろ?」
去年と同じ旅館のロビーでお酒をいただきながら、義父が待ってくれていた。
碧生くんは早速、お酒を飲まされた。
先にお部屋に行くと、既に温泉に入ったらしい母が迎えてくれた。
「あらあら。またずいぶん日焼けしたのね。大丈夫?日焼け止め、塗らなかったの?」
「一応塗ってたんですけど、それでも焼けました。美白しなきゃいけませんね。」
私がそう言うと、母はうなずいた。
「こちらの旅館の別館でエステを予約してます。夕食前に参りましょうか。」
……エステ。
ありがたいけど、めんどくさく感じた。
夕食は、父の大好きな蟹三昧。
「そういや、アメリカでは蟹、どうやって食べるんや?」
義父が碧生くんに尋ねた。
「豪快ですよー。こんな風に食べやすい状態にしてくれてるお店、ないですからね。木槌か器具で殻をバーンと割って食べます。蟹味噌は食べません。」
そう言いながらも碧生くんは、とても美しくお箸だけで蟹を食べていた。
「百合子は?蟹、好きじゃないの?」
そう聞かれて、ドキッとした。
「……好きよ。でも、上手く剥けないの。手を切っちゃったり。食べるの苦手なの。」
本当にヘタなので、自分で剥かなければならない時は食べるのを諦めてしまう。
すると、碧生くんは目をキラキラと輝かせて、にっこりと笑った。
「なんだ!じゃあ、これからは俺が剥いてあげるよ。貸して。」
驚いて碧生くんを見る……本気だわ。
碧生くんは私の蟹を自分の手元に引き寄せると、器用に剥きはじめた。
まるで鼻歌でも出てきそうなぐらい楽しそうに、お皿に蟹の身を落として山を作ってく。
「食べ方は?二杯酢?そのまま?蟹味噌も同じお皿でいい?」
「二杯酢。蟹味噌も大好き。……ありがとう!」
うれしい。
でも、恥ずかしい。
両親が微笑ましく見ているのが……いたたまれない。
2人きりの時なら、碧生くんが何をしてくれてもうれしいけど。
そんな想いを込めて、ちらっと碧生くんを見る。
再び満面の笑みを返されてしまった。
……そうよね……碧生くん、最初からオープンだもんね……今さら、よね。
たぶんこれからもこんな風に、不器用な私の世話を喜んで焼いてくれるんだろうな。
私、これまで以上に、何もできないお姫さまになってしまうかもしれない。
「責任とってね。釣った魚に餌やらない、とか、やめてね。」
碧生くんが剥いてくれた蟹は、とても美味しくて……私は、お礼と一緒に、ついそんなことを言ってしまった。
両親は呆れてたけれど、碧生くんは至極真面目な顔でうなずいてくれた。
円山川を眺めながらひたすら北上した。
城崎は、少し雪がちらついていた。
「お疲れさん。大変でしたやろ?」
去年と同じ旅館のロビーでお酒をいただきながら、義父が待ってくれていた。
碧生くんは早速、お酒を飲まされた。
先にお部屋に行くと、既に温泉に入ったらしい母が迎えてくれた。
「あらあら。またずいぶん日焼けしたのね。大丈夫?日焼け止め、塗らなかったの?」
「一応塗ってたんですけど、それでも焼けました。美白しなきゃいけませんね。」
私がそう言うと、母はうなずいた。
「こちらの旅館の別館でエステを予約してます。夕食前に参りましょうか。」
……エステ。
ありがたいけど、めんどくさく感じた。
夕食は、父の大好きな蟹三昧。
「そういや、アメリカでは蟹、どうやって食べるんや?」
義父が碧生くんに尋ねた。
「豪快ですよー。こんな風に食べやすい状態にしてくれてるお店、ないですからね。木槌か器具で殻をバーンと割って食べます。蟹味噌は食べません。」
そう言いながらも碧生くんは、とても美しくお箸だけで蟹を食べていた。
「百合子は?蟹、好きじゃないの?」
そう聞かれて、ドキッとした。
「……好きよ。でも、上手く剥けないの。手を切っちゃったり。食べるの苦手なの。」
本当にヘタなので、自分で剥かなければならない時は食べるのを諦めてしまう。
すると、碧生くんは目をキラキラと輝かせて、にっこりと笑った。
「なんだ!じゃあ、これからは俺が剥いてあげるよ。貸して。」
驚いて碧生くんを見る……本気だわ。
碧生くんは私の蟹を自分の手元に引き寄せると、器用に剥きはじめた。
まるで鼻歌でも出てきそうなぐらい楽しそうに、お皿に蟹の身を落として山を作ってく。
「食べ方は?二杯酢?そのまま?蟹味噌も同じお皿でいい?」
「二杯酢。蟹味噌も大好き。……ありがとう!」
うれしい。
でも、恥ずかしい。
両親が微笑ましく見ているのが……いたたまれない。
2人きりの時なら、碧生くんが何をしてくれてもうれしいけど。
そんな想いを込めて、ちらっと碧生くんを見る。
再び満面の笑みを返されてしまった。
……そうよね……碧生くん、最初からオープンだもんね……今さら、よね。
たぶんこれからもこんな風に、不器用な私の世話を喜んで焼いてくれるんだろうな。
私、これまで以上に、何もできないお姫さまになってしまうかもしれない。
「責任とってね。釣った魚に餌やらない、とか、やめてね。」
碧生くんが剥いてくれた蟹は、とても美味しくて……私は、お礼と一緒に、ついそんなことを言ってしまった。
両親は呆れてたけれど、碧生くんは至極真面目な顔でうなずいてくれた。