秘密の片思い 番外編④
「あたりまえだろ? 俺の魂胆は一つに決まってるけれど、その前に話があるんだ」

「話?」


私は小首をかしげて郁斗を見る。

並んでソファに座ると、郁斗が口を開く。


「会社は懐かしかったか?」

「みんな変わっていなくて懐かしかったし、楽しかったよ。ありがとう。で、話って?」


こんなにかしこまって「話がある」という郁斗に気軽に聞いてみるものの、内心緊張している。


「数日前に、親父と会ったんだ」

「会社に行ったの? 珍しいね」

「いきなりお前の引退はいつだ?って聞かれたよ。俺、まだ29なんだけどな」

「お父様は郁斗に仕事を手伝ってもらいたいんじゃないのかな」


18歳から外国で暮らし、その後日本で暮らしたのは1年ぐらい。すぐにイタリアへ行ってしまったし、ご両親も郁斗がいなくて寂しいのだと思う。もちろん私や孫の碧にも頻繁に会いたいと言われたこともあった。


「まあな。それはわかっているけど、俺一生をかけてやりたいことがあるんだ」

「一生かけてやりたいこと?」


そんな夢を今まで語ってくれたことがなく、思い当たる節もない。


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