君を選んだから
.......気のせい、だよね?

何でもないか。

だって、ほら、もう通常運転のふわふわした須賀くんに戻ってるじゃん。

きっと考え過ぎだよ。


そう言えば、お兄さんはどっかの大学の研究所にいるって言ってたよね。

お義姉さんはどんな女性なんだろう。

早く来ないかな。

すご〜く、気になる..........


「ねぇ、ところで、どのバイトでお義姉さんと一緒だったの? コンビニ? ドラッグ?」

「ううん、その後やったカフェ。一番、長続きしたやつ。」

「え、そうなの? 初耳だよ。」

「そうだっけ? 時給も一番良かったし、やってて楽しかったよ。」

「へぇ、何かおしゃれだね。」

「まぁね。」


カフェで働いてたなんて初めて聞いた。

しかも一番長いとか、飛んだレア情報なんですけど。


まぁ、今のうちらの職業に直結してるのは小売の方だから、話のネタ的にはそうなるか。

ドラッグストアなんて、もろに取引先だしね。


芝生の上では、キレイにトリミングされた小型犬が遊んでいる。

恰幅のいいお父さんらしき人が黙々と肉を焼いているそばで、お母さんが楽しげにお喋りしているのが聞こえる。

どこからどう見ても、絵に描いたような理想の家族の休日だ。


広いお家で、温かい仲良し家族に囲まれて育ったから、須賀くんってああいうオーラを醸してるんだろうな。

まだ数分しか滞在してないのに、それがよくわかった気がする。

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