エリートな彼と極上オフィス
「頭いてえ…」
「そんな飲んでないだろ、やっぱ疲れてんだよお前、無理すんな」
うん、と両腕に顔を埋めて、テーブルに伏せてしまう。
これは本当に、具合が悪そうだ。
「先輩、もう帰りましょう、タクシー拾いますよ」
「悪い、お前らまだ飲んでていいよ」
何をバカなことを。
「こんなふらふらの人を預けたら、通報されますよ」
「マジでぐらぐらしてきた。っかしーな、薬飲んだのに」
「えっ、薬って、なんのですか」
「風邪薬」
風邪薬飲んで、お酒飲んだの。
唖然とした私たちを、先輩が気だるげに見上げる。
「まずいんだっけ」
「まずいの代表ですよ、下手したら落ちますよ」
「んな大げさな…」
言うそばから先輩が、ぐらりと傾いで千明さんにぶつかる。
私は慌てて店員さんの元に走った。
「湯田ちゃん、法人タクシー指定して」
「え、なんでですか?」
「万が一車内で吐いた場合、個タクだと法外な額を請求されるんだよ」
社会人は、いろいろ知っているものだ。
どこでその知識を仕入れたのかは、聞かないことにした。
「ごめん、何かあったら連絡してね」
「この分なら大丈夫ですよ。ほら急がないと、電車終わっちゃいますよ」
腕時計を見てうわっと叫ぶと、千明さんは先輩の部屋を飛び出していった。
彼が、このマンションの場所を知っていて助かった。
私も駅までは知っていたものの、さすがに建物は知らない。