エリートな彼と極上オフィス
なんと先輩、社会人になってからは彼女いないのか。

そりゃ中川嬢みたいな同期に囲まれてたら、わざわざ彼女なんて必要ないだろうし、たぶん仕事が楽しくて、それどころじゃなかったんだろう。

賛同を得て心強くなったのか、先輩の口の重さが少し解消された。



「休日は?」

「俺、基本は授業がなければバイク乗ってたから、そうじゃない時には、普通に一緒に遊びに行ったりしたよ」

「バイクにはつきあわせなかったわけ?」

「たまにだな、そっちはそっちの仲間がいるからなあ」

「いちゃいちゃしたりは?」

「したに決まってるだろ、そのためにつきあってんだから」

「ちょっと見えてきた」



何が? と目を丸くする先輩に、千明さんが人差し指を向ける。



「悩み事とか、聞いてやった?」

「そりゃ相談されれば、聞くよ」

「お前は相談した?」

「なんで俺が彼女に悩み相談するんだよ?」



千明さんが、来た、と嬉しそうに手を叩く。

先輩はさっぱりついていけていないようで、きょとんとして。

何が来たんだ、と私に向かって不安げにささやいた。

構わず、千明さんが断言した。



「お前の中で、彼女というものの地位が低いんだ」

「そんなことないと思うけど」

「他にすることがなけりゃ会って話して、したくなったらエッチするってだけの相手だろ、今聞いた限りでは」

「だって、そういうもんだろ?」



先輩の声には困惑が表れている。

私はなんとなく理解できるような、それどうなんですかねえと是正したくなるような、複雑な心境を味わった。

確かに学生のおつきあいなんて、フタを開けたらそんなものなのかもしれないけど、そんなものだと言いきる人も、いないだろう。



「お前さ、彼女っていったらいずれ嫁さんになって、一生を共にしてもおかしくない相手なんだぜ、お前のつきあい方で、それができると思うか」

「彼女作る時、そこまで考えねえよ」

「ほらな、お前は彼女を、別枠に置きすぎるんだよ。家族でも友達でもない、余った領域だけよろしくって具合に」

「だって家族でも友達でもないだろ?」

「だからって家族や友達とすることをしちゃいけないってことには、ならないんだぜ」


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