エリートな彼と極上オフィス
千明さんが私に、にこっと微笑んでみせる。

わあっ。

先輩、私、モテ期到来です!



「はあっ? 何がモテ期だよ」

「だって千明さんが」

「千明の他に、誰だよ、言ってみろ」



えっ。

何その剣幕。

私はぽかんとするばかりだった。

特に、本人の口から、私が千明さんのほうに行くなんて微塵も思ってない、と言われた身としては、疑問符しかない。



「え、榎並部長とか」

「あんなの、女で若きゃ誰でもいいんだっての!」

「何怒ってるんです?」



わけがわからず、訴えた。

先輩は、はっと口をつぐんで、同じくぽかんとしていた千明さんと私を見ると。

突然、ぱっと耳まで赤くなった。



「…先輩?」

「俺、先戻る…次の準備あるし」



怒ったように言い捨てて、さっと上着を取ると、足早に店を出ていってしまう。

呆然とそれを見送りながら、千明さんがつぶやいた。



「小学生か」

「調子に乗りすぎましたかね、私…」

「いや、全然関係ないよ、あいつが幼すぎるだけ」

「幼すぎる?」

「気をつけなよ、あいつたぶん、真面目につきあおうとしたらそこそこめんどくさいよー」



はあ、ととりあえずうなずく。

千明さんは脚を組み、胸ポケットから煙草を取り出した。



「俺と千明と、どっちが大事なんだよ! とか本気で言い出すタイプだ」

「焼きもち焼きは歓迎ですよ」

「ちょっと違うかな、湯田ちゃんが自分を好きってのを、信じて疑わないがゆえに、微妙な扱いをされると我慢できないんだよ」

「…それは…めんどくさいですね…」

「ちなみに俺はそんなこと言わない」


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