エリートな彼と極上オフィス
「俺? 大学は自動車部だよ、全然もてなかったよ、なんでみんなそう言うわけ?」
合宿が明けた翌週、代休も消化し、久々の出社で気分も新しい中、千明さんと先輩と、ランチに出た。
先輩は私を見ると何かぶり返すのか、恥ずかしそうに顔をこすりながら、情けない声を出す。
「なんでって、そりゃお前」
「彼女とか、いたでしょ?」
「そりゃ、いたほうが楽しいかなと思って、作ったこともあったけど」
その返答に、千明さんが面白くなさそうに煙を吹いた。
誰もが、作ろうと思って作れるものじゃないんだと、コウ先輩は考えたこともないんだろう。
「合コンとかさ」
「数回しか行ったことないし、女の子が攻め気すぎて怖かっただけだ。なあ俺って、そんなイメージなの? 遊んでそう?」
どうやら本気で気にしているらしい。
私と千明さんは半ばあぜんとしながら、いや…とはっきりしない返事をした。
「でも事実お前、しょっちゅう女の子と遊んでるだろ」
「だって買い物つきあってとか、飲み行こうとか、誘われたらどうやって断ったらいいかわかんないんだけど」
「予定あるって言えば」
「あれば言うよ」
「ちなみにその女性たちの中で、えーと、特別な関係に至った率は」
「特別って? やっちゃったってこと?」
ひえ。
コウ先輩の口からそんな言葉が出ると、ぎくっとする。
振っといて怯んだ私には気づかないらしく、中華の油で濡れた口元をナプキンで拭きながら、先輩は難しい顔で中空を見た。
「率は…考えたことないけど、誘われたらまあ」
「注文次第で、ほいほい入れてやんのか、お前」