エリートな彼と極上オフィス
ベージュのワンピースに、紺のバッグとパンプス。

ゆるく巻いたつやつやの髪。

女子力の塊が先輩に駆け寄るのを、なすすべもなく見守った。



「よお、お疲れ」

「何よ、こっちまで来るなら飲み会、出たらいいじゃない」

「くたくたなんだ、飲んだら寝ちまうよ」



嬢がちょっと不満げに眉を寄せる。

その視線が、私の手元をさっと舐めたのに気づき、私はチャームの入った紙袋を、ケーキの袋の中にそっと入れた。

先輩はガードレールに腰かけて、悪びれる様子もない。

さすが、彼女がこの場に見切りをつけるのは早かった。



「そ、じゃあね」

「みんなによろしくな」

「次回の幹事にしとくから」

「わかったよ」



苦笑しながら手を振って、先輩は私を振り返る。



「何食う?」



なんとも言えない気持ちになった。

あのね、先輩。

あのですね。

うまく、言えないんですが。



「えーとですね」

「座ったら寝そうだから、立ち飲みでもいいんだけど」

「いや、ええと」

「やっぱ、あれだなー」



私のまごつきに気づかないのか、先輩は肩のストレッチをするように、腕を頭の後ろに回して笑う。



「湯田いないと、調子出ないな」



あーあ。

やめやめ。

ものわかりのいいふりするのは、もうやめだ、バカらしい。



「あのですねえ、先輩」

「うん」

「忘れちゃいませんかね、私は先輩を、好きなんですよ」



久々にはっきり言ってあげると、先輩が視線を揺らしてたじろいだ。

その鼻先に指を突きつける。

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