甘いだけの恋なら自分でどうにかしている
感じてわかるものです

課長との関係は?


給湯室にいると綾仁くんからメッセージが届いていた。この前行けなかったからと食事の誘いだった。律儀な子だなと感心してしまう。

「まさか綾仁くんに本当に誘われると思わなかったな。えっと明日大丈夫だよ、でいっか」と返信していると
「小千谷」と課長がいつの間にか入り口に立っていたので驚く。
「うわっ」
「そのリアクション、いい加減うぜーな」
「いや、課長の気配消しがうますぎるんですよ。前世は忍びですか」
と言うつっこみを聞き流し
「これ、部長から。青森の出張土産なんだけど、配るの手伝え」
箱の銘柄を確認すると心が弾み
「『いのち』じゃないですか。大好きです」
笑って返すと課長と目があった。
その瞬間、若槻と課長が抱きあっている絵が浮かんでしまい
「私が、配ります」と課長の手から箱を奪い逃げてしまった。



日中のフロアは人がまばらだ。若槻が自然に視界に入る。
そういえば若槻は私が課長の家に行ったこと知ってるのだろうか。
だったら話は早くて、家に遊びに行ってた? って聞いちゃえばいいのか。
これ以上、課長にも変な態度とれないしな。
いや、しかし……そう思っていると、若槻が「小千谷さん」と呼んだ。
「ん?」
「ちょっとだけ、いいですか?」
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