甘いだけの恋なら自分でどうにかしている

屋上に行くと、風が若槻の髪をなびかせ綺麗だった。

「どうしたの? 改まって」
「誤解、してませんか?」と笑みを湛えたまま尋ねる。
「え?」
「昨日、課長の家に来ましたよね」
「……うん」
「私の靴だって気づかれたかなと思って」
「それは正直……気づいてたよ」
「付き合ってるとか思っちゃいました?」
「付き合ってるっていうか、最近、変な噂を聞いたから、課長と若槻がデキてるとかそういう……。だから、本当だったのかなって余計に驚いたって言うか」
正直に言うと
「やっぱり小千谷さんに言って良かった。そんな噂あるの知らなかったから、びっくりです。でも、そんなわけないですから」
と明るい笑顔で否定した。
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