クールな同期が私だけに見せる顔
「そっか」数週間か。
モテるんだった。彼は。
「まあ、いいんじゃないか?
あいつの態度が煮え切らなくたって。そんなもんだよ」
「省吾って、人を好きになったことないのかな」咲良がため息交じりに聞く。
「さあ、あの割り切りぶりは、マジでないかもなあ。
でも、あいつ付き合ってるときは割と真剣だぜ。
いい加減なことはしないし。
浮気なんか、絶対しないと思うよ。まあ、そのかわり、冷めるのも早いけど」
「ん、そっか。ありがとう」
彼の飽きっぽいところなんか、今さら変えられるわけがない。
省吾の過去なんて、今さら気にしても仕方がない。
そう思ってみても、ずっと気にしない振りしているのは、とても難しい。
いつの間にか、横山君が先につぶれて、テーブルに臥せっている。
横山君が寝てしまって、私は、咲良にようやく話した。
彼女は、横山君に聞こえないように声を低くして言う。
この話題は、本当に気になっていて、横山君に茶化されたくなかった。
「誰だっておかしいと思うよ。これは、私の勘だけど。
なんかあると思うな。
あんなに真剣だって言っておきながら、自分の生活圏には一切近づけさせないなんて」
咲良もだんだん、お酒が進んでくると本音が出てくるようになる。
そうだよね。何かあると思うよね。
「そう。なんか隠してるって思うな」咲良が言う。
「隠してるって、何を?」
たいしたことないって咲良が、言ってくれたらいいのに。
そう思って相談したのに。
当てが外れてしまった。
「そんなことまで、私も知らないって」
咲良の話に、反応して横山君が口を挟んで来た。