クールな同期が私だけに見せる顔
「あいつ、前の女と切れてないんか?」むくっと起き上がって眠そうな目で言う。
「そうなの?」
冗談ぽく言ったけど、私の心は決して穏やかではない。
キリキリとみぞおちに痛みを感じる。
そんなこと聞いたら、冷静ではいられない。
私も、省吾の事どこかでそう思ってた。
いろんな人の証言もある。
それに、私は彼の近くにいたのだ。全く身に覚えのないことじゃない。
「じゃあ、どうして、部屋に上がるなんてこと、断るんだよ。俺なら全然分かんねよ。
大事な彼女が言ってるのになあ。それなのに断るって。
なんか、本気でまずいことでもあるんだろうが」
咲良が後を引き取って言う。
「ちょっと、それじゃ、フォローになってないって。横山そくらいにしておきなって、もう、黙ってろ」
咲良が横山君のグラスを取り上げる。
咲良が話を終わらせてくれたけど、私はもう少し横山君に聞きたかった。
「そうなのよ。横山君。
省吾ったら、散々、私ん家に入り浸ってるくせに、私が頼んでも部屋には呼べないなんて。
変だよね。絶対に何かあるに決まってる」
「怪しい。それは限りなく怪しい」
「そっか、やっぱり、そうだよね」
「絶対に怪しいって。
部屋に来てほしくないのは、別の女と鉢合わせすると、まずいからだろう」
横山君が、いきなりズバッと言う。
だいぶ答えた。
自分で思ってる以上に深く傷ついてるんだと思う。
そうだよね。理由がなきゃ断らないよね。