クールな同期が私だけに見せる顔
私は、エレベーターを避けて、すぐ横にある階段で急いで5階まで上がった。
息を切らして、5階のフロアに着いた時、ちょうど美登里さんの背中が見えた。
彼女は、エレベータから出てきたところだった。
彼女はそのまま廊下を歩いて、
505の部屋の前に立つ。
彼がいることを知っているのだろう。
ベルを鳴らして、
待ち遠しげに時計を見る。
留守だといいのにと願ったけれど。
期待もむなしく、ガチャっと音がして、
ドアが開いた。
「沢井君」
普段より高い美登里さんの声。
美登里さんは、部屋の中から出て来た
省吾の首に腕を回して、嬉しそうに飛びついた。
「会いたかった」
ここで、彼女のキスを受け止めたり
したら、私は、迷うことなく彼の前に出て、一発平手打ちでもしてやろうと思った。
けれど、省吾はそうはしなかった。
彼は、うるさそうに、
彼女の尖らせた唇をやり過ごして、
どうぞと彼女を部屋に招き入れた。
省吾は、美登里さんを中に入れると、
バタンとドアを閉めた。