クールな同期が私だけに見せる顔


待ち合わせの時間に少し遅れて来た彼は、軽く頭を下げてから
「遅くなってごめん」といって私に謝った。

忙しかったのか、少し疲れているようにも見える。

こんな些細なことで謝らなくてもいいのに。

私は、細かいことにも、几帳面に頭を下げる彼の姿に戸惑ってしまった。


「少しくらい、気にしなくていいのに」と私言った。


彼は、ため息をついて、それっきりなにも話してくれなかった。

『気にしなくていい』という、私の言葉は耳に届いていないみたいだった。

怒ってるのか、悲しいのか分からない表情をしてる。


ということは、相当、怒ってるんだろう。

それでも忙しい中、時間を割いて私に会いに来るんだから。

やっぱり、根は真面目なのだ。

面倒だとか、どうでもいい相手だから放っておこうとは思わないのだ。

会うべき人には、きちんと会うというのだから、いい加減なことはできない人なのだ。省吾は。

まあ、会うべき人なんだろうな。

会いたい人じゃなくて。

彼にとっての今の私は。

私に会っても、いつものように笑顔じゃない。

彼も何か気付いてるのかな。

私だって、これから話さなければならないことを考えると、笑ってはいられない。

< 146 / 220 >

この作品をシェア

pagetop