クールな同期が私だけに見せる顔
待ち合わせの時間に少し遅れて来た彼は、軽く頭を下げてから
「遅くなってごめん」といって私に謝った。
忙しかったのか、少し疲れているようにも見える。
こんな些細なことで謝らなくてもいいのに。
私は、細かいことにも、几帳面に頭を下げる彼の姿に戸惑ってしまった。
「少しくらい、気にしなくていいのに」と私言った。
彼は、ため息をついて、それっきりなにも話してくれなかった。
『気にしなくていい』という、私の言葉は耳に届いていないみたいだった。
怒ってるのか、悲しいのか分からない表情をしてる。
ということは、相当、怒ってるんだろう。
それでも忙しい中、時間を割いて私に会いに来るんだから。
やっぱり、根は真面目なのだ。
面倒だとか、どうでもいい相手だから放っておこうとは思わないのだ。
会うべき人には、きちんと会うというのだから、いい加減なことはできない人なのだ。省吾は。
まあ、会うべき人なんだろうな。
会いたい人じゃなくて。
彼にとっての今の私は。
私に会っても、いつものように笑顔じゃない。
彼も何か気付いてるのかな。
私だって、これから話さなければならないことを考えると、笑ってはいられない。