クールな同期が私だけに見せる顔
「こいつに、気安く触るな!」
省吾が怒鳴ってる。
なに?
どうしちゃったの?
驚いて私は省吾を見た。
普段、おちゃらけてしゃべる奴が、急にきつい言い方をすると怖い。
俊介さんも、省吾の気迫に押されている。
「ちょっと待て、感情的になるな。なにも、無理矢理連れて行くことないだろう?」
俊介さんが、ほんの少し近づいた。
省吾は、私と俊介さんの間に割って入った。
私は、省吾に急に引っ張られて、腕がちぎれそうだ。
「痛いっ、止めて!」
「中谷さん、すいません。俺、譲りません。こいつは、俺が連れて帰ります」
省吾は聞く耳を持っていないようだ。
俊介さんのいうことを無視してる。
「沢井、無茶するな。止めろって」
「中谷さん、近付いても無駄です。無理してでも、俺はこいつから手を離さない。
それに、あんなキスじゃ、こいつ反応しないですよ」
「お前、なに言ってるんだ」
「何なら、ここで、やって見せましょうか?」
「やめろ。冗談じゃない」
「晴夏、来い」
両肩をつかまれて、省吾の腕の中に押し込められる。
私のあごの上に、省吾の顔が見えた。
落ち着いてよと、笑って見せる。
彼は、笑うどころかすごい形相で私を睨みつけていた。