クールな同期が私だけに見せる顔
「いい加減にしてよ!省吾。な、何が抱きしめて欲しかったよ。部屋に別の女連れ込んでたくせに」

誤魔化そうとしたって無駄だ。

この男は、散々甘い言葉を並べておきながら、別の場所では、他の女性に同じことを言ってたかも知れないのだ。

そんな二股野郎に言うべきことは、はっきり言わないと。


彼は、厚かましく私の体を引き寄せようとした。
私は、彼の腕を力いっぱい突っぱねる。


「確かに、部屋には呼んだけど。晴夏みたいに人前で堂々と、キスなんかしてない」

彼は、私を手元に置くのをあきらめて、
むっとした顔をして腕を組んだ。

「キスしないからって、どうだって言うのよ……」

もう、どうでもいい。

省吾がどこで何しようと知るもんか。

省吾は、長い腕を伸ばして私をつかまえた。

油断して彼に背を向けたところを引き戻された。

「言っとくけど、浮気したのは、お前の方だ。この浮気女」
ギュッと私の頭を押さえつけて、耳元で言う。

「何それ、逆切れ?どうして私だけが、浮気したってことになってるの」

「実際に人前でキスしたのは、お前だからな」

彼は私を睨みつけると、両手でほっぺたをぎゅっとつねった。

「痛いじゃないの」
手加減なしで思いっきり引っ張ったから、本気で痛かった。

「俺は、何もしてない。信じるか?」
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