クールな同期が私だけに見せる顔

「で?話って何」
省吾は、メニューをもてあそびながら言う。
私は、姿勢を正した。

彼の考えが短い間に変わったとは、思えない。

質問しても答えは分かってる。

だから、私が質問したらその後のことは、即、決定する。
彼のことは、よくわかってる。
彼の心を動かそうと思うのは、不可能だろう。

最初からわかってる。
聞くだけ無駄だと思うけど。

一応、今の彼の意思を確認しなければならない。

「あのさ、省吾。やっぱり、考えてることって前と同じ?」
ちょっとだけ緊張した。

期待したから。
彼から、あの頃とは違うよっていう言葉が、聞くことができるかもしれない。

私は、省吾の前で何でもないふうに装った。
かなりがんばって聞いたのに。

彼は、しばらく私の質問を無視するように、窓の外の景色なんか見ていた。


そして、唐突に口を開く。

「前と変わってないよ。
俺と付き合えとか、結婚しようっていうつもりなら、そういうの俺には無理だ」

「そっか、そうだね」

私は、腕を組んでファミレスのシートに深く座り直す。

「うんん、いいよ。そう言うと思ったし」

「思った?」

「そういうだろうって、わかってたっていう意味。
だから、この話はもうしない。
昨日あったことは、全部忘れよう」

「そう」

彼は、不機嫌そうにグラスに残った氷をストローで乱暴にかき回した。

「省吾君、不満があるなら言って」

「晴夏……判断するの、ちょっと待ってくれ」

「考えたって、待ったって、無駄でしょう?
人間そう簡単に変われるわけないもの。
私に気兼ねして、無理することないよ。
さあ、食べたら、帰えろう。
そして、昨日のことはみんな忘れて」

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