クールな同期が私だけに見せる顔

「意外と片付いてるのね」

「ものを置いてないだけさ。コーヒーだけしかないけど」

普段、ブラックで飲むからミルクも砂糖も置いてない。

思いっきり濃くしたコーヒーを入れた。

いつもこんなのを飲んでるわけじゃない。

苦味のきいた飲み物が欲しかった。


「いいわ。素敵な部屋ね。いいお土産話ができるわ」

「いい加減にしろよ」

「ごめん、そう怖い顔して怒らないで」

「ほら、これあげるから」

プリクラのシートを受け取ると、くちゃくちゃっと丸めてゴミ箱に放り込んだ。

「もう、いいだろう?帰ってくれ」

「そんな。せっかく来たのに。帰れだなんて」

「約束したのは、それだけだ」

「沢井君、お願いがあるの」

美登里がいきなり抱きついてきた。

「何するんだ、止めろって」

「だって、どうしたらいいのか分からないの私」
ぎゅっとすがり付いて顔を押し付けてくるけど、どう見たってわざとらしく感じてしまう。

「俺に頼むことじゃないだろ?」

「お願い。ほとんどのお金は返したの。あと、沢井君の伝票、訂正した分立て替えといてくれないかな」

「なに言ってんだ!俺がそんなことに加担するわけないだろう?もう、とっくに会社にバレてるよ。今さら取り繕ったって無駄だってことわかんないのか?」

「だって……」

「今日、ここに呼んだのは、晴夏に手を出すなっていうためだ」

「鈴木さん?彼女がそんなに大事なの?」

「あんたには関係ない」

「あら、でも沢井君の家に私の方が先に招待されたなんて知ったら、彼女面白くないでしょう?だったら……」

「何度も言わせるな!俺を脅してもどうにもならないところまで来てる。もう、観念しろよ」
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