クールな同期が私だけに見せる顔


「省吾くんったら、やっぱ晴夏ちゃん狙いか……」
美登里先輩は、また独り言を装って私に聞こえるように言う。

「沢井君、私なんか狙ってませんから。本当に違いますって」
私も反論する。

黙ってると、認めてしまうことになるから、とりあえず反論する。

美登里さんの前では、ちゃんと否定しておかないといけない。おかげで俊介とのこと。

社内に変な噂をバラまかれることになった。
こういう人は気をつけなくてはならない。

「なんだ、沢井君とは、まだ付き合ってないのか。意外な組み合わせで面白いのに」

「面白くなんてないです。一緒にいるのは、本当に腐れ縁です。単なる同期の」

「彼もそう思ってるのかな?そうかな。
だって、沢井君サラッと流すよね。晴夏ちゃん以外の子のことは……」

「私の事、からかいやすいからでしょう」

反応したらダメ。無視すること。そして、話題を反らしてくれることを願う。
私は耳だけ傾けて、パソコンンのキーを叩く。

「ねえ、沢井君、やっぱり晴夏ちゃんのこと、好きだからじゃない?」

「何ですか、それ?」

ええっ?
ミスタッチして、横滑りした余計な文字が入ってしまった。

「ふふっ」美登里さんが意味ありげに笑う。

引っ掛かった。

美登里さんが私の顔を横目で見て、嬉しそうに微笑んだ。
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