クールな同期が私だけに見せる顔
「今日は特に、やっとくことないですよね?」
私は、美登里さんをチラッと見ながら言う。
「そうねえ、それじゃあ、これ。営業部に持ってって」
と言われて私は、美登里さんにど派手な赤いクリアファイルを渡された。
ファイルの中に、書類が一枚だけ挟まってる。社内のどうでもいい回覧用の書面だ。
これは、いかにもどうでも良さそうな資料だ。
わざわざ、営業まで持っていくものか?
「メールで送っておきましょうか?」
「うん。でも、晴夏ちゃんさあ、
帰りがけに、営業に寄ってもらって
課長の机の目立つところに
これ、置いてきてくれないかな。
課長って、メールにすぐに見ないし。
朝一に、すぐにサイン欲しいので。
そのために赤いファイルに入れてるの」
「そ、そうですか」
何でまた、よりによって営業部の用事なのよ。