クールな同期が私だけに見せる顔
「島村課長って、沢井君の隣の席だよね」
「はい」
島村課長というのは、省吾の上司で40代半ばのずんぐりした体型をしている。
「じゃあ課長の机の場所、すぐわかるよね。
なんなら、沢井君から渡してもらうように、頼んでもらってもいいんだけど」
「いいえ。机に置いておきます」
島村課長の席は、省吾の席の横だ。
だから、本当は、行きたくないんですけど。
誰かに会ったら、課長の席に置いてもらうように頼もう。
「そっ、有り難う」
「じゃあ、美登里さん。お先に」
美登里さんは、機嫌よく手を振って送り出してくれた。
美登里先輩は、私より5年先輩で、ずっと庶務課で働いてる。
業務については課長よりはるかに詳しい。
サッパリしてるように見えて、あれで執念深い。
彼女には、なるべく関わらない事が、望ましい。
会社でも、プライベートでも。
睨まれると怖い存在だ。
睨まれたら最後。いなかった存在にされて、まったく仕事をさせてもらえなくなる。
私と入れ替わりになって退職した先輩は、美登里さんが怖くて、速攻で社内で相手を見つけて、さっさと寿退社をしていったという噂だ。
仕事を一緒にするときは、特別やりにくいというわけではないんだけど。
ただし、彼女の恨みを買わなければだ。
時々、どうでもいいことにこだわるけど。
今日の、沢井君のことみたいに。
彼女、省吾と何かあるのかな。
あったって、私には関係ないけど。