クールな同期が私だけに見せる顔

エレベーターで下のフロアに下りていく。

このフロア全体が営業のフロアになっている。

中に入って行く前に、ちらっと隅の方から様子をうかがう。

様子をうかがうというより、省吾がいないかどうか、確かめる。

いた……

自分の席に座っている。

背中を向けているから、私に気付いていない。


よし。彼は今、携帯を見てる。
そっと近づけば、気が付かれないうちにファイルを置いて帰えれる。

2、3歩、あるきかけたときに、私の横を島村課長が通り過ぎようとした。

これは、運がいいかもしれない。

課長にファイルを渡して、そっと帰ろう。

「あの、島田課長?すみません」

私は課長を、静かに呼び止めて手に持ってたファイルを渡した。

「ああ、ありがとうね」
課長は手にしたファイルを軽く持ち上げて、ありがとうねと言った。

よかった。

省吾の近くまで行かずに済んだ。

と思ったら。

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