クールな同期が私だけに見せる顔
「何か食べていくか?」

彼は、会社を出ても背中に手を添えたままだった。

「いいえ、結構です」

「んじゃ、直接お前んとこ行くか?」
私は、彼の手を払いのけた。

「省吾、いい加減にして。私、ハッキリ言ったはずでしょ」

「ん、まあ、そうだったな」

「そうよ。だから、必要以上に近づかないで」

「んん……」

「何よ」

「晴夏の言いたいことは、確かに全部聞いた。
でも、お前、俺が話をする前に出ていっただろう?」

「ん?」

「ということだから、話は終わってない」

「どういう事よ」

「そうだな。今から、話し合いするか……
ということだから、やっぱりお前んとこ行くか」

「何でそうなるのよ」

「だって、外でする話じゃないだろう」

「省吾、あの……」

「途中で、何か買っていく?」
省吾、私の話なんか、聞いちゃいない。

「ちょっと待って、何でそうなるのよ」

「今日は、俺がメシ作ってやるから、そうイラつくな」

イラついてるわけじゃなくて。

彼は、私の家の道順も、どこにスーパーがあるのかもよく知っていた。

一人で勝手に決めていき、両手一杯に買い物をすると、どんどん先に歩いて行く。

とうとう、マンションの前に着いてしまった。

建物の中に入るのにもめて、部屋の前でも、もめた。

「細かい事はいいから、中入れてくれ」

< 33 / 220 >

この作品をシェア

pagetop