クールな同期が私だけに見せる顔
「本当厄介なやつ」

私は、汚れたお皿をまとめて流しに持っていく。
怒りに任せて、勢いよく水を出したら、飛沫で服が濡れた。

『なあに、やってんだか』
さっきまでここに居た、省吾の憎たらし声が聞こえてきそう。

蛇口の水の勢いを緩めて、泡だらけのお皿を片っ端から洗う。


彼の同期として、
ずっと横から見てきたけど、
付き合ってる間の、恋人としてのあいつの行動って、本当に素晴らしい。

実際に付き合ったことなんかないから、聞いた話だけど。

こんなふうに台所に立ってると、ふざけて後ろから近づいてきて、冗談を言いながらさりげなく手を貸してくれるとか。

不安そうな顔してると、『どうかしたのか』って聞いてくれたり。

何人かの証言で『彼って決して私のこと一人にしないの』っていうのは共通してた。

『このまま続いてくれたらいいな』って思う。
省吾といたいってなって、将来のを事考える。

考えたうえで、女の方が、
ずっと一緒にいたい、『恋人にして』なんて言おうものなら、手のひらを返したみたいに態度が冷たくなる。

男のあんな姿を見たら、誰だって自分に惚れてくれてるって思う。

でお、省吾の言う事だけは聞いてはいけない。

『俺、そんなこと言ったっけ?』
これは、あいつの常套句だから。
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