クールな同期が私だけに見せる顔


落ち着こう。そう、だよね。

省吾は、こういう冗談いつも言ってるし。

一時の気の迷いだって。
そういうかもしれない。

省吾だって冷静になったら、
やっぱり間違えた、取り消したいって言い出すかも知れない。


「俺、なんて言ったらいいのか、わからないんだけど」


「はあ?」あんた今、人の事好きだって言ったばっかりじゃん。

「いやあ、だからさ、そういう風に、俺のこと好きだって言ってくる相手の気持ちが、少しだけ分かったような気がするっていうか」
省吾は、妙に納得したように照れくさそうにしてる。


「分かったような気がする?」

なあに言ってんだ、この人は?

こっちは、余計分からなくなる。

そんなことが分かるのが、そんなに楽しいか?

「告白なんてされるもんで、したことなんかないよね?」
そうに違いない。とりあえず、肯定しておく。

女の子すぐに寄ってくるし。
このまま若くなった彼が、学生時代にモテないわけないし。

取りあえずここは、はい分かりましたと肯定。

「なんだか心配になって来た。晴夏、これで分かったって言えるのか?」

省吾が言ってるのは、体の相性が良かったからであって、それ以上でも以下でもない。

「バッカみたい。そんな事、人に聞いて分かるわけないでしょう?」


「むむ……
でも、晴夏は、俺のことなら何でも知ってるだろう?」

「そんなわけないでしょ?私は、あんたのママじゃないのよ」


まったく、それは、好きって訳じゃないって。
少なくとも、そんなにはっきりした感情じゃないよね。

それなら、好きだってはっきりわかってから告白して欲しいんだけど。

と言いかけて止めた。

省吾ったら、気持ちは本物なのって、そんなこと、今、聞かない方がいい。

聞いてしまえば、省吾の気持ちがはっきりしてしまう。

省吾が人を好きになるわけがないもの。

だから、聞かないでおこう。

例え勘違いでも一瞬だけ、幸せな気分が味わえるから。

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