クールな同期が私だけに見せる顔


誰が隣にいても、省吾は、態度を変えるようなことはなかったけど。

本当によくやるなと、私は遠巻きに見ていた。

社内の飲み会なんて、元カノ、元元カノみたいな状態で混ざってるんだから。


会社の女の子と付き合ってるときくらい、別の女の子なんて、軽くあしらえばいいのに。

彼は、そうしないで、みんな平等に扱ってた。

すねた女の子にジョークを言ったり、慰めたり。

大変そうだなと彼がすることを、私は横から見て思っていた。

そういうこと、嫌がらずにマメに対応してたのは、すごいと思う。

女の子といること自体が好きなんだろう。

難しい人間関係だと思うのに。

省吾のことで、トラブルがあったってことは聞いたことがなかった。

けれど、「いつか刺されるぞ、お前。そのくらいにしておきなって」
省吾、誰かにそう言われてた。



本当、見た目は、誰でも受け入れてくれそうだし、いつも笑ってるから人当たりがよく、軽そうに見える。

でも、実際は違うのだろうか?


「晴夏、目をそらすなって」

「やだ」



目の前で起こってること、消してしまいたい。

省吾の顔なんて、まともに見たくない。



まさか、省吾とこうなるとは思ってなかった。



彼の顔が目の前にあって、
抱きしめられ、唇を重ねてるなんて。

「晴夏、キスして。俺のこと好きだろ?」

むさぼるようにキスされて、力強く抱きしめられる。


こうして。キスすると、もう、離れられない。
彼の体の一部になってしまった気がする。

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