クールな同期が私だけに見せる顔



カランとドアが閉まる音がする。


食事を終えても、私は、彼が残していった後の余韻に浸ってた。

日に日に彼の存在が大きくなっていってる。



「お連れ様、お帰りですか?」
アイスコーヒーを飲んでいたら、さっきの店の人に声をかけられる。

「はい」

彼が出て行った音がしても、省吾がそこにいるような気がしてる。

そんな空気に浸って、心に浮かんでくる様々な思いにとらわれていた。

なんて幸せなんだろうと思う。

顔がにやついてしまう。


「素敵な彼ですね?」四十がらみの少し年上の女性だった。

「ええっ?そうですか?」

店の人がいたのに気が付かなかった。
恥ずかしさがこみ上げてくる。

「ええ、お店に入ってくださってから、ずっとあなたから視線をそらさないなんて」

「そうでしたっけ?」

「ええ、間違いないわ。見てましたから」

本当に?
省吾って、そんなやつだっけ?

そんなはず、ないよ。

『女なんて、みんな一緒。いざ付き合ってみると重くなる』
あいつ、ずっとそう言ってたし。

私は、省吾にいつそう言われるか、今だってびくびくしてるのに。

思ってたことと違う面を見せてくる。

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