フラワーガーデン【アリシア編】
「……ごめん」
床に落ちたシーツを拾い、体に巻き付けると、気まずく視線を逸らせたまま、アマンダのいる部屋へと足早に戻って行った。
「センセー、おっ帰り~。続きしよ~」
ベッドの中ですっかりその気になっていたアマンダに、床の上に脱ぎ散らかしてあった彼女の服を掻き集めてベッドの上に放った。
「早く服を。エリーが熱を出した」
「エリーが?!」
アマンダの顔色がさっと変わり、服を急いで着るとベッドから飛び降りる。
僕もアマンダが隠していた自分の服を見つけて着ると、再度、隣の部屋へと駆けつけた。
アリシアは丁度、濡れタオルを絞って交換しているところだった。
「 102°F(=38.89度)あるわ」
アマンダはエリーの枕元に跪くと、「どぉ~しよぉ~」と動揺しながら、エリーの手を握り締める。
僕はハンガーに掛けてあったリュックに手を伸ばし、出掛ける準備を整えた。
「医者を連れてくるよ。服は薄めに。それから部屋を暖め……」
「私が行くわ」
アリシアがすくっと立ち上がる。
「君を危険な目に遭わせたくない。ここにいるんだ。いいね」
「でも……」
「い~よ~。行かなくても。行くだけムダ~」
アマンダが声を押し殺すように言う。
「あいつら、ここには絶対来てくんな~い。
『娼婦は汚いから、どんな病気持ってるか知れない』とか言ってさ。寄り付かないもん」
「そんな……。ひどい……」
絶句するアリシアの肩を僕はポンと優しく叩く。
「絶対、来てもらうよ。だから、待ってて」
それでも、アマンダは頭を横に振る。