強引社長の不器用な溺愛
「ふうん」


社長は聞いておきながら気のない返事をする。

なんだろ、感じ悪いな。
でも、私にそんなこと言う権利はない。

社長に嫌な想いをさせてしまったクリスマスの思い出はまだ生々しい。
今回の新年早々の仕事だって、社長への罪滅ぼし的な気持ちもある。


「付き合うのか?清塚さんと」


「何言ってるんですか。取引先の方ですよ?この前会ったばかりで、そんなことになりようがないじゃないですか」


言い訳がましく答えてしまう。
清塚さんが、出会ってすぐに私に好意を持ってくれたことは気付いた。そのことは嬉しい。
男性にモテたことが、本当にないんだもん。まあ、出不精すぎて男性のいるところに出向かないから、そもそも出会いがなかったんだけど。


「そんなのわかんねーだろ」


問い詰めるくせに冷たい雰囲気の言葉が、妙に刺さる。

いやだな、この話題。
もう、やめたい。


「まあ、おまえの魅力で篭絡しとけ。清塚さんはキーパーソンだ。こっちサイドでいてもらった方が助かる」


社長はそう言って、コーヒーをすする。

なるほどね。そういうわけですか。
仕事的には、私がつなぎとめておいた方がいいってことね。

わかるけど、最高に感じワルイ。

私は無表情に答えた。


「今週末にご用事で上京されるそうです。食事の約束はしていますので、ご心配なく」


社長が短く「おう」と答えた。
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