強引社長の不器用な溺愛
門が開錠され、中に入るとすぐにお手伝いさんと思しき年配の女性が走ってくる。


「東弥さん、もう始まってらっしゃいますよ」


「ええ、すみません」


社長は勝手知ったる様子でサクサク敷石を歩いていく。
お手伝いさんが私のことをちらりと見るけれど、詮索はしないと言った様子で後ろに控えた。

門から家屋まで何歩歩くんだ!というくらい広い敷地には、大きな平屋の日本家屋がそびえたっていた。
平屋なんだけど、あまりの迫力に「そびえて」見えるのよ!

アプローチは玉砂利に敷石。
松が並び、その向こうには日本庭園があるだろうことは容易に想像がつく。

玄関だけでも馬一頭余裕で置けそうな広さ。
お邪魔して、ピカピカに磨き上げられた幅広の廊下を進むと、人の話す声が近づいてくる。

すでに始まってるっていうのは、新年会?
年賀の挨拶程度よりは規模が大きそうだ。

襖を勢いよく立て切って社長は室内に入った。
私はその行動にぎょっとしながら、後に続いて室内へ。


30畳はあろうかという和室にはずらりと居並ぶ人々。ざっと数えただけだけど、50人ほどいる。
会社関係者といった雰囲気ではない。家族?一族といったところだ。

最奥の椅子には老齢の女性が着物姿で椅子にかけている。


「東弥かい?」


低く通る声が、その女性から発せられたものだと最初はわからなかった。
なにしろ、女性は随分高齢に見え、まさかそれほど張りのある声が出せるとは思わなかったからだ。
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