強引社長の不器用な溺愛
社長がにっこりと笑うのが見えた。
立ち上がると、後ろに立ち竦んでいた私の肩をいきなり抱きよせる。

そして得意の大声で言い放った。


「そうなんです。大お祖母様に一番にお知らせしたくてこの場に連れてきてしまいました」


場がざわっと揺れたのが肌でわかる。

この男……何を言い出す気?
いや、もう想像ついたけど!


「俺の婚約者の絹です。玄孫はもう少し待ってくださいね」


笑顔ですごい大ボラきたーーー!!!

何言ってんの?
何、大々的にご一族の前で発表しちゃってんの?
このアホ社長!アホジャイアン!!

なんなのか?『キスしたら婚約』があんたんちの決まりなのか?
しきたりなのか?

いつの間に私と婚約したんだっつうの!!
初耳この上ないわい!!

思い切り狼狽し、心中叫びまくりながら、社長との『余計な事を言うな』っていう約束が頭にあり言葉が出ない私。

そんなの守る義理ないじゃん!と思いつつ、この場をめちゃくちゃにできないという理性的な大人の心理が働く。

だって、私が『違います!』とか言って社長に食ってかかったら、大騒ぎになっちゃうよねぇ!?
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