強引社長の不器用な溺愛
子どもっぽいとは思う。
だけど、あんな家族関係の嘘に巻き込まれて、ほいほい許せないっつうの。

同時に思う。
社長は、やっぱり怒っていたんだ。
出張の夜、私が拒絶したこと。
大人の女ぶって、『遊ぶ相手を間違えた』的なことを言った私を。

それは私が悪いと思う……。私の態度って、結局自分自身を守るためのものなんだよね。

でもさ!でもですよ!
新年会の件はひどくないっすか!?

突然の家族会に放り込んで、慌てさせて満足?
嫌な女に一泡吹かせられて、さぞ楽しかったでしょーよ!

あーもう!腹立つ!
社長がっていうか、嫌なことの応酬してる私たちの今の関係が!


はっと我に返る私。

やめよう、今日は社長のことは忘れるんだ。
きれいさっぱり頭から追い出して、楽しく食事をしてくるんだから!


新宿駅の南口改札に到着。
電車が遅れてる時とか、よくここから中継があるよねーという場所で、清塚さんは待っていた。
改札から出てくる私を見つけ、伸び上がって手を振る姿は子どもみたいだ。

清塚博之さん、32歳。
大沢キノコ農園株式会社の開発課主任、私と同じ大学出身。
私が知っているパーソナルデータって、そのくらい。


「篠井さん、あけましておめでとうございます。今日はありがとうございます」


生真面目に頭を下げる彼と、これから私は食事に行くのだ。
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