強引社長の不器用な溺愛
「ええ、清塚さんのお住まいと同じくらいには降ると思います。オリンピックで有名な白馬のあたりなんですけど」


「篠井さんがお越しになった時から半月でこちらの積雪は3倍くらいになりましたよ」


「ふふ、想像つきます。そうなんですよね。どかんと降って、あっという間に景色が変わるんでしたね」


清塚さんがワイングラスを傾ける。客観的に見て、清塚さんはイケメンという部類だろう。


「僕は学生時代しか地元を離れていないので、あちらの景色が普通なんですが、篠井さんはもうずっと東京でしょう」


ふふっと笑う姿も、素敵だ。
ほら、なんだっけ。俳優のあの人。この前、変わった医者の役やっててー。ラーメンのCMとかもハマっちゃうあの人。
駄目だ、ぱっと名前が出てこない。

とにかく、その俳優さんに似てるわけなんだから、清塚さん実は激モテですよね。
絶対そうですよね。

私なんかを誘う理由はなんでしょうか。
まあ、私も顔はそこそこ悪くないと自負はあるけど、男子と飲み会などなどの実地試験をしていないわけで、実際モテるかというとそのへんは自信はないわけで……。


「もう、雪国なんて遠い記憶ですよね」


「そんなことないですよ。毎年年末年始は帰りますし、不思議と東京に出てからの方があの雪景色を懐かしく思い出します」


頭の中でまったく違うことを考えつつ、会話に答えを用意する私。
器用だわ、我ながら。
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