強引社長の不器用な溺愛
「僕は大沢社長もあの仕事も好きなんです」


不意に清塚さんが言った。


「大学院を出て、東京でメーカーの研究職につくことも考えたんですが、OBでもある社長がわざわざ僕を誘いに来てくれました。あの人は、本当に魅力的な人です」


サンタ姿の大沢社長が思い浮かぶ。最後に見たのが、その姿だったんだよね。


「研究室に閉じこもっていた僕を『遊び足りない!』って怒るんです。飲みに連れて行ってくれたり、パチンコやマージャンも教えられました。休みの日は釣りだって、早朝に迎えにきて……」


「結構、アクティブに振り回されてるんじゃないですか?清塚さん、全然断らないでしょう」


私が笑って言うと、清塚さんが照れたように答える。


「僕は振り回されるのも嬉しいかな。僕にとって、大沢社長はやんちゃな父親って感じなんです」


それから、清塚さんは両手をテーブルの上で固く結ぶ。決意の表情で言った。


「仕事の話で申し訳ありません。でも、今回のサプリメントプロジェクトは、会社にとって一大転換になると思うんです。僕は社長に抜擢された責務を果たしたい。社長の描くビジョンを助けたいんです」


清塚さんが語る大沢社長。
確かに人が良くて、大胆で、話も面白いオジサマだった。

一代で会社を大きくした傑物には見えないけれど、清塚さんは大沢社長のいい面をたくさん知って、そしてついていきたいと思ってるんだろうな。
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