強引社長の不器用な溺愛
敬愛するトップを盛り立てていきたい。風に帆を張り、ともに大海原を進んでいきたい。

清塚さん、私もその気持ちがわかってしまう。
今、思い浮かべている人は、さっき『今日は思い出さない』と決めた人。

あーあ、結局、八束社長が頭から離れない私は、どこかおかしいのだろうか。



私たちは色々な話をして、二時間ほどをイタリアンのリストランテで過ごした。

そろそろ……といった空気が流れたとき、清塚さんがグラスを置き、両手をひざについた。私をじいっと見つめる。


「またお誘いしてもいいですか?」


そういった清塚さんの頬は、イブのパーティーの時みたいに赤かった。

私は頷く。
ためらう理由なんか、ない。


「ええ……」


本当は『ええ、是非』と、答えるつもりだった。
しかし、私の口は途中で止まってしまった。

イタリアンを出ると寒さは深まり、軽く湿度を感じる空気はこれから雪がちらつくだろうと予想できた。


「雪が降りそうですね」


同じことを考えていたらしい清塚さんが呟いた。
彼は西新宿のホテルに宿を取っているそうだ。

ドラマなんかなら、ここでホテルのバーラウンジで飲み直して、部屋に誘われベッドイン!
うん、この流れはおおいにあるぞ。

いつの間にやら惹かれあった男女は大きな波などなくても、身体を重ねるもんだ。
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