強引社長の不器用な溺愛
それから、俺と篠井はお隣の三鷹駅にある保育園に向かった。
本当は車を出すところなんだけど、道中事故渋滞があるということで、お迎え時間に間に合わなさそうだった。
仕方なく電車移動だ。


「社長までついてこなくていいんですよ」


駅まで歩く道すがら、篠井が言う。俺はがんとして言い張る。


「今後もこういうことがあった時のために、保育園側に俺の顔も覚えてもらおう。なんなら、保護者の登録用紙も書くぞ」


「今後はこういうことがないのが一番なんですけどね~」


嫌味を言われ、返す言葉がない。
まあ、そうだな。朝メールに気づけばこんなことになってねーもんな。

三鷹駅から5分、保育園に到着すると、清子があひるとクラス名が書かれた部屋から飛び出してきた。


「絹ちゃん!社長ー!」


「さやちゃんお迎えに来たよ」


清子と篠井が抱き合ってきゃあきゃあしてる。
仲良いんだよな、こいつら。


「今日は社長のせいでママはお仕事だから、美味しいごはんをおごってもらおうね。とっておきのお店、予約してあるから」


「そうなの?社長」


清子が俺を見上げてきて、俺は渋面で頷いた。

おいおい、俺のミスを幼児に暴露すんな。
そして、ごはんおごるの?もう、予約したってなに?
さっき、電車で数分の間にスマホをいじり倒してた時?

いや、別にいいけどさ。おごるけどさ。
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