強引社長の不器用な溺愛
「うん、いいよ。清子待ってるよ。ごはんはどこに行くの?絹ちゃんのセンスと社長の経済力に期待ね」


保育士さんにお支度してもらいながら、にっこりと笑った清子が答えた。

なに、この4歳児。
返しが賢すぎる。


保育園を出ると、三鷹駅まで歩く。
吉祥寺は中央線でひとつだ。

その間、清子は俺と篠井の間にはさまって両手を繋いでいた。


「絹ちゃん元気?またDVDばっか見てない?」


清子が篠井を見上げ、軽口をたたく。


「ちょっとさやちゃんたら。そんなことないから」


篠井が少し焦った声で返す。

なんだ、俺の知らない話をしてるな、こいつら。


「絹ちゃん、社長、ぶーらんこして」


清子は機嫌がいい。
沙都子さんの入社時は赤ん坊だった清子は、すっかり幼児だ。
というか『女子』だ。言葉も急激に達者になって、会うたび驚かされる。


「ぶらんこは遊具だぞ」


「ぶーらんこ、知らないのー?絹ちゃんと社長があたしの手を持ってね」


清子は俺たちの手にぶら下がりぴょんと小さくジャンプしてみせる。

どうやら、俺たちに持ち上げてジャンプさせろってことらしい。
あーはいはい、理解理解。
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