強引社長の不器用な溺愛
「あ、沙都子さんから電話」


篠井が言い、妄想世界からダッシュで帰ってくる俺。

篠井は少し離れ、通話を始める。
沙都子さんの声が聞こえちゃったら、清子が寂しくなるだろうと気遣っているようだ

俺は清子と自販機の新商品を眺めつつ待つことに。
今年はホットの炭酸でないのかな。あれ、好きなんだけどな。


「ねえ、社長」


清子が俺を見上げる。
俺は屈み込み、清子と目線を合わせた。


「なんだ、清子」


「社長と絹ちゃんは結婚するの?」


幼児からの予想外の質問に情けなくも狼狽した。

いつの間に、そんなことになってんの?
当事者の俺、まっっったく聞いてねーけど!?


「清子、それ誰から聞いた?」


「ママと絹ちゃんが喋ってたー」


おいおいおい、篠井と沙都子さんの間でどんな会話が成されてるんだよっ!

え?もしかして、篠井は俺と結婚したいとか、沙都子さんに相談してんの?

ないだろ!
それはないだろ!

婚約者ごっこの時ですらガンギレだった篠井が、恋愛を飛び越して俺と結婚したいとか思ってたら最早一大スペクタクルだぞ!

でも、俺たちが、ここ最近ちょっといい感じなのも事実。

何年も相棒として仕事してきた俺たち。
積み重ねてきたものを、ワンステップ上に進める時期が来たんじゃねーの?

もしかして、篠井も同じことを……?
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