強引社長の不器用な溺愛
「清子!!」


俺と清子の背後から鋭い声が降ってきた。振り向くとそこにはひとりの男。

年は俺と同じくらいか。
暗褐色の髪に、恐ろしいほど整った顔立ち(清塚さんの上を行くかもしれない)、日本人なのかわからないイエローアンバーの瞳。

格好はカーキ色のモッズコートにジーンズだ。会社員ではないな。
っつうか、誰?この人。


「あんた、誰だ。清子から離れろ」


その男は険しい表情と怒りすら感じるような瞳で俺を睨む。
声は人でも殺しそうにドスが効いている。


「あ!おじちゃん!」


清子が俺の陰から顔を出し、相手を視認した。
おじちゃん?清子の名前を呼んでるし、知り合いだよな。


「えーと、俺は……」


立ち上がりながら説明しようとすると、清子がぴょこぴょこ跳ねながら言葉を奪う。


「社長だよ!ママの社長!」


男が首をひねって反芻する。


「沙都子さんの?」


えーと、事実なんだけど、その言い方ってパトロン的な感じに聞こえない?
現に目の前の男の不審者を見る目が解除されてない!

そこへ、篠井が慌てた様子で駆け寄ってくる。


「葦原(あしはら)さん!違うんです!変な人じゃありません!」


はい、変な人じゃありません。
つうか、篠井の説明もひどくねぇ?


「篠井さん」


葦原と呼ばれた男は、篠井を見てわずかに瞳を見開いた。

< 180 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop