強引社長の不器用な溺愛
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清子はその葦原という男に引き取られ、自宅に帰って行った。
沙都子さんからの電話はその件だったらしい。
心配はしていない。
清子がとにかくなついているし、篠井も顔見知り、沙都子さん本人の指示なら大丈夫だろう。
「なあ、篠井」
「はい」
「さっきの男って、沙都子さんの彼氏?」
三鷹駅のホームで電車を待ちながら聞く。
篠井が答えに迷ったあと、口を開く。
「そんなところですかねぇ」
どうやら、篠井は沙都子さんちの事情を色々知っているようだ。
そして、どこまで喋っていいものか悩んでいる様子。
「つか、清子の父親だろ、あの人」
「あ、わかっちゃいました?」
詮索する気はないけれど、気付いてしまったから一応確認するだけだ。
「清子と同じ目だった。ちょっと変わった色の」
篠井がうんうんと頷く。
とっておきの秘密を共有できる相手が見つかって嬉しいようだ。