強引社長の不器用な溺愛
「うちで本決まりなんスよね。契約書は?」


「来週交わす予定で行方さんとやってる。行方さん情報なんだよ。副社長が、何人か役員を引き込んでるみたいだ。これ見よがしに特別チームを作ってるって。何をやらせるか不明らしいんだけど」


「何か仕掛けてくる前にこっちが話決めちゃえばいいんスよ。あとは何を言われても聞こえないフリしときましょうよ」


敬三さんが「おまえは気楽でいいなぁ」なんて言うけれど、俺だってそこそこ考えてるんですけどね。
力押しが得意なのは、今に始まったことでもないし。


「あ、そう言えばな……まあいいか」


敬三さんが何か言いかけてやめた。


「何、言おうとしたんですか?気持ち悪いでしょ」


「俺が口を突っ込むことじゃないよなと思っただけ。仕事と関係ないし」


その言い方。もしかして、篠井の関係に何か?

いいや。敬三さんが何か勘付いたとしても、俺たちの関係がはっきりするわけでもない。
今は話題としては引っ込めてもらおう。


その後は別件の打ち合わせを済ませ、俺が帰社したのは16時くらいだった。

篠井との約束は19時にそのビストロ。
社員に変に思われないようにと現地集合という念の入れようだ。
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